人文社会学専攻
人文社会学専攻は、日本の古代文化発祥の地であるとともにシルクロードに連なり国際性豊かな地である奈良に本学が立地することを念頭に、奈良から広く世界へ目を向けて、多彩な研究と教育を推進しています。歴史学・地理学・社会学のいずれかの専門分野を基盤としながらも、学際的に諸問題を発見・探究できる人材を育成することを目指しています。専門知を深めつつ、関連分野に対しても熱いまなざしを注ぐことができる意欲的な学生を望みます。
カリキュラムの特色
本専攻は、歴史学コース・地理学コース・社会学コースの3コースで構成されています。各コースがそれぞれ時間・空間・関係の観点から人間について探究する高度で専門的な研究と教育をおこなうとともに、従来の枠組みにとらわれることなく有機的に連携し、人文科学や社会科学、さらには自然科学に及ぶ多彩な授業科目を用意しています。
取得できる資格
- 中学校教諭専修免許状「社会」
- 高等学校教諭専修免許状「地理歴史・公民」
進路
平成30年~令和4年度
【進学】
奈良女子大学大学院、大阪大学大学院、早稲田大学大学院
【教員】
埼玉県、京都府、富山県、奈良市、奈良女子高等学校
【公務員】
京都府、長浜市、葛城市、射水市、高知市
【企業・団体】
スカイジャパン(株)、(株)大宮製作所、東洋スクリーン工業(株)、ハネダ防設(株)、(株)AQUA・J、FPTジャパンホールディングス(株)、(株)グラッドキューブ、(株)ガスレビュー、ユニファイド・サービス(株)、国際航業(株)、日本郵便(株)、カトーレック(株)、イオンリテール(株)、(株)ファーストリテイリング、(株)京都駅観光デパート、(株)図書館流通センター、京都中央信用金庫、損保ジャパンパートナーズ(株)、三井住友銀行(中国)有限公司、日本マクドナルド(株)、(株)ロイヤルホテル、ディライト(株)、TOHOシネマズ(株)、学校法人 河合塾、学校法人 武庫川学院、社会福祉法人恩賜財団済生会支部静岡県済生会、(株)やまと、(株)ATGS
【その他】
認定NPO法人フローレンス、(独)国立美術館、(一財)本願寺文化興隆財団、特定非営利活動法人まちづくりねっと・うじ
修了生の声
修了生たちはは様々な分野で、多様な仕事をしています。
どんな仕事をしているのか、奈良女子大学大学院での経験がどのように活かされているか、教えてもらいました。
コース概要
歴史学コースでは、日本、アジア、ヨーロッパを中心に、政治史、社会史、思想史、文化史、考古学、美術史といった多様な視点、方法により、歴史をめぐる諸問題について深く研究を行います。
さまざまな言語で記された文献の読解・分析、人間が創り出したモノや作品も含めた資史料の調査、フィールドワークなどに関する高度な知識や技法を身につけるとともに、人文・社会科学、自然科学等の分野を問わず必要とされる歴史的思考を培います。
3つの柱
主な研究分野
日本史・東洋史・西洋史・考古学・美術史学
担当教員
- 教授西村 さとみ
日本文化史、日本古代史
- 教授宮路 淳子
考古学
- 教授矢島 洋一
東洋史、内陸アジア史
- 准教授木村 容子
西洋史、イタリア中世史
- 准教授佐藤 有希子
日本美術史、東洋美術史
- 准教授田中 希生
日本史、日本近現代史
- 准教授村上 麻佑子
日本史、古代史
- 特任教授長田 明日華
日本文化史、日本古代史
修士論文題目
- 日本古代仏教史における飛鳥寺建立の意義
- 中世の声と身体
- 竹中半兵衛の軍略についての遺稿と江戸期の再編纂 —『竹中半兵衛重治雑記』と『竹中軍記』—
- 文禄・慶⻑の役をめぐる戦争観念について
- 日本史の中の猫と社会
- 保存の創造性 —考好家たちの明治維新—
- 近代日本における学問・智者と「スピリット」
- 慰霊と「賊」
- 博覧会に見る知と娯楽の空間史
- 後期マムルーク朝におけるカイロとナイル —都市と災害の共生—
- 中世スコットランド独立戦争期における城と王国統治 —ロバート1世を中心に—古墳時代前期における倭製鏡製作技術の研究 —「画期」の検討を中心に—
- 製塩からみた弥生・古墳時代における地域社会の変遷 —岡山南部地域を中心に—
- 文化庁蔵「酒飯論絵巻」研究 —初期狩野派絵巻の転換点—
- 法隆寺金堂薬師如来坐像に関する研究 —制作年代の再検討を中心に—
コース概要
地理学コースでは、人文地理学、自然地理学、地誌学に加え、社会・経済・文化、環境問題、自然災害などに関わる地域研究も視野に入れながら、人間活動と地域・環境との関係性を多面的に研究します。
これらに関連する諸学問の理論について学ぶとともに、インタビューやアンケートを用いた調査方法、地域調査データや地理情報の高度な解析・分析手法を身につけることで、野外調査を含む地域調査を自ら企画・実践する能力を養います。
3つの柱
主な研究分野
人文地理学・自然地理学・地誌学・地域研究
担当教員
修士論文題目
- Residents’ Perception of Flood Risk through GIS-based Building Location Analysis
- 2011年東日本大震災以降の和歌山県沿岸域における津波対策の進展と課題
- 訪問介護職員のライフコースに関する研究
- 茶産地の維持に果たす農家ネットワークの役割
- 地域活性化の担い手としてのコミュニティ・ビジネスの可能性
- 奈良県吉野地域における木材加工業の生産構造の変化
- 奈良盆地における孤立神社林の植生構造
- 奈良盆地東縁断層帯における変動地形の再検討
- 精神障がい者にとっての「脱施設化」と就労・生活支援
- 平城京域遺跡堆積物の珪藻分析からみた古環境
- 都市近郊農村における里山利用の変遷と保全に向けての課題
- 出産場所の地理学
- 商店街の観光資源化に見るまちづくりの課題
- 中国東営市の水環境管理と市民参加
- 大阪市のひったくりに関する社会地理学的研究
- アニメ『けいおん!』聖地「豊郷」巡礼者による場所イメージの形成
- 三田市ワシントン村における住宅地開発と住民によるまちなみ管理
- 高解像度衛星画像から抽出された砂の移動とその要因
- 捕集高度からみたイネ科花粉の飛散特性
- メコンデルタにおける農村の近代化からみた水辺利用の変化
- 中国在住日本人のための生活環境整備と生活適応支援ネットワーク
コース概要
私たちの生きる社会は、人々のつながり(関係)とそのつながりを基礎とした仕組み(剥度·構造)と、それらを持続あるいは変化させる媒体(文化・コミュニケーション)から成り立っています。社会学コースでは、これら社会を構成する要素を基本的視点に置きつつ、現代社会で生じている諸現象を読み解くことを目的としています。
具体的には、グローバル化、ジェンダーと家族、都市と地域、格差と不平等、コミュニティと社会ネットワーク、文化とメディア、多様性が進展する社会における共生などのさまざまなテーマ領域を扱います。コースでの学びを通して、人間の多様性やグローバル社会への視座も重視しながら、高度で専門的な社会学的息考力と分析技法を習得します。
さらに、社会学的な探究と関わりの深い文化人類学や、ジェンダー論、観光論、メデイア論なども学びつつ、現代社会において解明すべき課題を自ら設定し、その課題に積極的かつ独創的に取り組む能力を身につけます。
3つの柱
主な研究分野
社会学全般(社会学理論、調査方法論、グローバル化、ジェンダーと家族、都市と地域、格差と不平等、コミュニティと社会ネットワーク、文化とメディア、共生社会、観光研究など)
担当教員
修士論文題目
- 地方観光都市のまちづくりにおけるアクターと空間の重層性に関する研究―京都府宇治市を対象に―
- 観光者からの現代社会論―訪日中国人リピーターを糸口に―
- 近代日本における烏龍茶の受容
- 日本におけるピアノ文化の変遷
- 中国残留日本人に関する一考察
- 中国における研学旅行の発展動向と課題―研学実践教育基地を中心に―
- 簡易宿所型ゲストハウスにおける宿泊経験の多様性―奈良県内の事例から―
- 教員間のジェンダーギャップに関する研究―主として中等教育における現状の把握と対策の検討―
- 少年漫画における女性キャラクターの役割―『週刊少年ジャンプ』の分析をとおして―
- トランスジェンダーのカミングアウト過程における実践
- 中国人女性の第二子出産希望と移住の影響
- 在日中国人母親の育児サポート・ネットワークに関する考察―都市部におけるインタビュー調査を通して―
- 未就学児への叱りをめぐる現代の母親の葛藤と悩み
- 中国農村部の「留守児童」経験者の職業達成―湖北省紅安県出身者に対するアンケート調査に基づく検討.―
- 中国における中学生の教育アスピレーションの規定要因
- 中国人看護師の滞日志向及び帰国志向に関する社会学的研究
- ベトナム人技能実習生をめぐる諸問題―国際労働移動の意思決定過程の視点からの考察―
- 日本における農産物の地域ブランド化の研究―流通の視点からベトナムへの応用に向けて―
- 笑いとリアリティの関係についての研究―東京 03 コント作品を手がかりとして―
- 「応援上映」の社会学
※以上は、2022 年度以前入学者による修士論文の例です。